インソールのバランステストは本当に正しい?10年前のお客様の指摘から学んだこと

インソールを販売するとき、私はお客様に「バランステスト」と呼んでいる確認を行うことがあります。
手を前で組んでいただき、その組んだ手を上から押します。次に、後ろからも同じように押します。
インソールを履いていない状態では身体が動き、インソールを履くと動きにくくなる。
一見すると、とても分かりやすく、インパクトのあるテストです。
しかし、このテストには注意しなければならない点があります。
押し方によって結果が変わる
このテストは、押す強さや角度によって、結果が変わる可能性があります。
例えば、身体が反って立っている方は、頭や重心が後ろ側にあるため、前から押しても動きにくい場合があります。
それにもかかわらず、前から押して身体が動くことがあります。
「なぜ動くのだろう」と不思議に感じますが、押しているつもりでも、実際には少し引くような力が加わっている可能性もあります。
つまり、押す側が自分ではまっすぐ押しているつもりでも、力の方向や角度がわずかに違うだけで、身体の反応が変わることがあるのです。
お客様から「押し方が違う」と指摘された経験
今から約10年前、ある男性のお客様に、このテストを行ったことがあります。
インソールを履いていない状態と、履いた状態で、同じように腕を押して確認していました。
そのとき、お客様からこう言われました。
「さっきと押し方が違いませんか?」
私は、自分では同じように押しているつもりでした。
そこで、
「インソールを入れたときは少し強めに押し、履いていないときは弱めに押しています」
と説明しました。
すると、そのお客様は、
「インソールを入れていないときは、動くように少し引っ張りぎみに押しているように感じます」
とおっしゃいました。
その言葉には、とても驚きました。
そのお客様は合気道の道場をお持ちの方でした。わずかな力の加減や、押す角度によって、相手の身体がどのように反応するのかを理解されていたのです。
「動いてほしい」という気持ちが操作につながる
その指摘を受けて、私は自分の中に「インソールを履いていないときは動いてほしい」「インソールを履いたときは動かないでほしい」という気持ちがあったのではないかと考えました。
自分では意識していなくても、心の中にある願望が、押す力や角度に表れていた可能性があります。
それまで私は、同じように押しているつもりでした。
しかし、実際には無意識のうちに、結果を期待した押し方になっていたのかもしれません。
その経験をきっかけに、押し方やテスト結果について、より慎重に考えるようになりました。
あれから約10年が経ちます。
今でもそのお客様からの言葉を胸に留めながら、この確認を行っています。
バランステストだけで良し悪しは判断できない
私はお客様に対して、次のようにお伝えすることがあります。
「このテストで動いたから悪いインソール、動かなかったから良いインソールと断言することはできません」
この確認は、あくまでも足元や身体の反応を確認する一つの方法です。
押す人の力加減や角度、立つ位置、受ける方の姿勢や力の入り方によって、結果が変わる可能性があります。
そのため、テストの結果だけでインソールの性能や優劣を決めることはできません。
ちなみに、肩を少し開き、手を後ろで組んだ状態で押すと、インソールを履いていなくても身体が動きにくいことがあります。
このことからも、身体の姿勢や腕の位置によって、結果が変わることが分かります。
本当に大切なのは履いたときの感覚
インソールには、足裏のアーチや歩行時の足元を支える役割があります。詳しくは「インソールの役割とは?足裏・歩行・バランスとの関係」でご紹介しています。
インソールを選ぶうえで大切なのは、テストで動くか動かないかだけではありません。
実際に靴を履いたときに、
・足を入れやすい
・歩き始めが自然に感じる
・足元が軽やかに感じる
・靴の中で足が安定する
・長く履いていても不快感が少ない
・歩いていて気持ちが良い
と感じられるかどうかも大切です。
良いインソールとは、テストで動かなくなるものだけではありません。
足に合っていて、履きやすく、歩きやすく、気持ちよく使えるもの。
私は、それが自分に合ったインソールの大切な条件だと考えています。
まとめ
インソールの販売時に行われる「バランステスト」は、見た目にも分かりやすく、印象に残りやすい確認方法です。
しかし、押す強さや角度によって結果が変わる可能性があるため、動いたか動かなかったかだけで、インソールの良し悪しを判断することはできません。
私自身も、約10年前にお客様から「押し方が違う」と指摘された経験を通じて、テストを行う側の意識が結果に影響する可能性を学びました。
インソール選びで大切なのは、テストの結果だけではありません。
実際に履いたときの自然な感覚、歩きやすさ、足元の軽やかさ、そして気持ちよく使えるかどうか。
さまざまな確認を行いながら、一人ひとりの足に合ったインソールを考えていくことが大切です。
一人ひとりの足に合わせたオーダーメイドインソールについては、こちらをご覧ください。
